OBROS COFFEE

2019/09/16 15:04

※こちらの記事は前サイトにて2019/5/18に掲載したものを再掲載しております。




荻野 稚季


今回のインタビューは荻野稚季(わかき)さん。兄の夢紘さんと一緒にOBROS COFFEEを開業するも、1年で店舗を離れ、焙煎所の設立を目指す「OBROS COFFEE 1095」(以下 1095)の活動を始めました。いつも謙虚で控えめな印象の稚季さんですが、大胆な決断に驚いた人も少なくないはずです。これまでの経緯や活動の中で、見えてきたことなどを伺ってみましょう。


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OBROS COFFEE 1095とは

焙煎所を設立するための活動名称。焙煎の修行と並行して、これまでにホテルや雑貨店で移動式カフェとして活動。現在は郡山市内に店舗を設けコーヒーを提供している。準備期間を3年間(1095日間)と設定し、2017年6月1日にスタートした。
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- やはり気になるのは、稚季さんの目標である焙煎所のこと。どうして設立しようと思ったのでしょうか?

僕は17歳からコーヒーショップの開業を目指して、バリスタとしての経験を積んできました。美味しいコーヒーを追求していく中で、焙煎も追求したいと考えるようになりました。僕たちバリスタができることは、焙煎されたコーヒー豆の美味しさをいかにそのまま抽出するか、なんです。焙煎の完成度が100点のコーヒー豆を、100点に近い形で抽出できるか。挽き方、淹れ方によっては、90点にも80点にもなってしまいます。残念ながら100点のコーヒー豆を、120点にすることはできません。実はコーヒーの美味しさは【焙煎9割、抽出1割】とも言われています。それを実感した時に、今まで頑張ってきたことが1割かぁー!って。
もっとコーヒーの味に責任と自由を求めて、自分で焙煎することを決意しました。

- なるほど。それで、どんなアクションを起こしたのですか?

まずは焙煎のスキルを身に着けるため、東京の名店GLITCH COFFEEで焙煎の修行を始めました。月に1、2回、高速バス通いで。もちろん、焙煎機を買えば物理的にはすぐに焙煎所を設立できます。でもロースターとしての腕が伴わないと本当に美味しいコーヒーは提供できません。

- 焙煎は難しい?

はい、難しいです!汗
焙煎は数℃、数秒で大きく味わいが変化します。もちろんコーヒー豆によって挽き方は異なりますし、その日の気温などの環境によって変化するので、その時その時に合わせた判断が必要になります。

- つまり、1095日間は焙煎のスキルを身に付ける為の期間ということ?

そうです。ですが、それだけではありません。1095日の期間は、浅煎りのコーヒーの魅力を多くの方にお伝えする為、そして僕の取り組みをより多くの方に知ってもらう為の期間として考えています。

- どうしてOBROS COFFEEのお店から離れて単独で活動しているのですか?

それは僕たちが提供している浅煎りのスペシャルティコーヒーの魅力を、もっと多くの人に知ってもらう為です。一つの空間で待っているだけでは浅煎りコーヒーを浸透させるのは本当に大変で、、、広めるのに時間がかかると感じました。普及活動として、自らお客様の元へ出向いて、コーヒーを提供したかったんです。

- 稚季さんが考える、浅煎りスペシャルティコーヒーの魅力とは?

少し長くなりますが、話してもいいですか?笑

- どうぞ!その熱い想いを語り尽くしてください!

スペシャルティコーヒーとは、産地や生産処理過程が明確で厳しい審査を通過したコーヒー豆のことです。生産者の取り組みや品質の向上によって様々な風味を味わうことができます。つまり、酸味や風味は農園ごとの産地個性(自然)の味なんです。
そのスペシャルティコーヒーの素晴らしさを存分に引き出す為、なるべく焦がさずに浅煎りにすることで、その産地個性、つまり自然の味をダイレクトに感じることができます。あえて言えば、コーヒーの苦味は焙煎によって、つまり人の手によって加えられた味覚なんです。コーヒーの品評会では、酸味の評価項目はあっても苦味の評価項目はないんです。
「浅煎り=流行」と感じる方もいるかもしれません。でも僕は、決して流行ではなく、コーヒー豆の個性をしっかり味わう事ができる浅煎りこそが、コーヒーの本質だと考えています。

- つまり、そのコーヒーの本質をもっとたくさんの人に知ってほしいということ?

はい。21歳の時、UNLIMITED COFFEEさんのコーヒーを飲んで、あまりの美味しさに強く感動しました。「美味しさに感動するってこういう事なんだ!」って。その感動を一人でも多くの方に味わって欲しい。僕はこれを【感動体験の共有】とよく言うのですが、感動体験の共有をより多くの方と一緒に味わいたいんです。そして、」コーヒーの酸味はネガティブなものではなく、酸味は素晴らしい個性だと感じていただけたら嬉しいです!


- 最後に質問です。1095として活動していく中で、何か変化はありましたか?

一番お客様との関わりが深くなりました。一人ひとりと、たくさんお話しさせてもらうようになって、以前よりもコーヒーに関心を持ってもらえるようになったり、焙煎所設立を応援してくださったり。こんなにたくさんの方々が応援してくれてるんだって。応援してくださる人達がいるからこそ、もっと頑張らないと!と背筋が伸びる思いです。


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これまでのどんな場面でも、稚季さんの原動力は、美味しいコーヒーを飲んで欲しい!という、シンプルかつコーヒー屋さんとして最も大切な情熱です。1095の期限である2020年5月31日までの約1年間、彼がどんなアクションを起こし、OBROS COFFEEがどう発展していくのか、応援しながら楽しみに待とうと思います。




Interviewer & Editor:太田亜寿沙